それぞれの思い

それぞれの思い


DANLOから車で10分もかからない場所に八ヶ岳実践大学がある。

そこで教育の一環として豚を放牧している。

ここの経営理念として経済動物にストレスを与えない、負荷をかけない飼育を実践している。

欧米などでは主流になりつつあるアニマルウェルフェアという考え方である。

しかし日本ではなかなか浸透していないのが現状である。

正直僕自身、そこを意識して豚を選んではこなかった。

以前、小谷村で放牧した豚を何年か扱ったことはあるが、放牧しているがゆえの豚の個体差であったり

餌のあげるタイミングだったり、量だったりがそれぞれの生産者で違うと僕らが言ういい豚、そうでも

ない豚、これは使えないなという豚ができてしまう。

現場(生産者)の気持ちや考え方と使う側(消費者)の気持ちが全く別のベクトルを向いていることになる

ここが一緒の方向を向いていないと持続可能な農業なんてありえない。

僕が店を始めてからずーと抱えているジレンマでその答えは未だ見つかっていない。

それくらい難しい問題。

僕ら(料理人)は美味しい豚が欲しい。

放牧を実践している現場の人はこの豚さんたちが屠畜されるまでの一生をストレスなく幸せに過ごしてほしいと言う。


この二者の思いを両立する術はあるのだろうか?

結局は人間の都合。人間の欲。

どのあたりで線を引くか、どのあたりで納得するか?どのあたりで解釈するか?

お互いが、このへんでいいよねっていう妥協ラインを見つけておかないと絶対続かない。


これが僕が現時点で言える現場(生産者)の人たちとの向き合い方かな。

だから最近はそんなに良くない豚でもいちいち言わないようにしている。

(豚)を作ってくれているだけでありがたいと思うし、自分がうまく料理してあげればいいんだから。

そう思うようになった。


少し大人になった気がする(笑)