複雑

複雑


毎朝5時に目が覚めてしまうマダム明子。

きのこが私を待っていると言って今日も行く。

完全にとりつかれている。覚醒している。

もう充分あるよ。と私が言う。

そういう問題じゃない。狩りがしたい。こんな楽しいことはない!

Bzのコンサートくらい興奮するっ!と明子は言う。

もう、ここまでくると何も言うことはない。


そんな明子とは対照的にちょっと冷めている私。

あまりの量の多さに、さて、どう保存、処理、掃除、加工しようか?

そっちの現実的な方で頭がいっぱいで、一緒に行きたかったなぁなんて1ミリも思わない自分がいる。

採ってきたからにはちゃんと成仏させないと。というプレッシャーの方が勝ってしまって素直に喜べない。

明子のテンションが上がるほど僕は冷静になってしまう。


きのこを必死に採ってくる明子。きのこを必死に成仏させる私。

同じきのこを愛する二人の間に温度差が生じている。


明子、すごい!よくこんなに採ってきたね。おめでとう。

そう素直に喜べる日が来るのだろうか。